母子の餓死の事件の記事を見ていますと、支援側の制約と、支援を求める側の事情に問題があるように思いました。

2013年5月28日 日テレニュースでは、北区役所・清原健介保険担当課長から、「今回の件に関しては、対応は正直難しかったのかなと思います。まず何らかの形で助けてほしいという声を、大阪市だけではなくどこの役所でもいいんですけど、あげていただくことが必要だった」という福祉行政の利用条件を記事にしています。

2013年5月28日 産経新聞は、「母親の井上充代さん(28)が数年前、夫から配偶者間暴力(DV)を受けていたことが27日、大阪府警天満署などへの取材で分かった。井上さんは夫と別居してマンションに移ったが、自身の実家にも居場所を伝えていなかった。夫に居場所を知られないようにするためとみられる。行政に支援を求めた形跡はなく、頼る相手もいないまま孤立を深めた可能性が浮上している。」と記事にしており、「孤立」を要因として指摘しています。

2013年5月24日 毎日JPは、「不動産会社によると、マンションは6階建て。1988年ごろに建てられ、3階の部屋の家賃は4万〜5万円。近くのマンションの女性会社員(26)は「この辺りは都市部で近所付き合いはほとんどない。早く異変に気付いてあげていたらと思うと気の毒だ」と話していた。現場は京阪天満橋駅北約600メートルの商業ビルやマンションが混在する地域。」とし、家賃や周辺の建物用途などを記事にしています。

2013年5月28日 朝日新聞digitalは、「捜査関係者などによると、死亡した井上充代さん(28)は広島県出身。大阪に移り住んだ後、2010年3月に瑠海(るい)君(3)を出産。大阪府守口市内で夫と3人で暮らしていた。昨年10月、井上さんの実母から守口署に「娘がお金が必要だと言っている。満足な生活ができてないのでは」と相談があり、署員が訪れると夫はおらず、2人暮らしの状態だった。生活環境に問題はなく、実母が連れて帰ろうとしたが、井上さんは拒否したという。
 井上さんはこの直後、知人の紹介を受け母子2人で大阪市のマンションに引っ越したらしい。知人側の配慮から、わずかな家賃で入居できたという。実母は井上さんの行方を把握しておらず、5月上旬、守口署に行方不明者届を出した。」と、血縁関係への関係に関する記事を掲載しています。

2013年5月31日 スポニチは、「 昨年9月、井上さんは大阪市北区の繁華街で営業する飲食店に入店。託児所に瑠海ちゃんを預けながら、ホステスとして店が営業を終了する同10月まで働いていた。周囲には自身の生活状況を語らなかった。」という記事を乗せています。

行政や実家といった福祉や血縁関係の力がないわけではないのに、頼らなかったこと。一方、ホステスとして営業を終了するまで働いていた。ということから、職を得ることの困難さと、夫からのDVを親族に巻き込まず回避したかったことなどの記事から要因が推定されるように思います。

■必要と考えられる対応
メモに子供に謝っている様子があることから、生前、母と子の関係を知る人からのヒアリング。
母と実家の親との関係性を知る人からのヒアリング
人物像の人格や性格の分析が可能ならば、このようなヒアリングが有効ではないかと思います。

この母子のカテゴライズとして、近所付き合いの少ない都市部での接客業に付く女性が、職を失ったとき、また、夫からのDVを受けるような精神的苦痛から回避するために、4〜5万円の住居に移り住んで来る可能性を分析し、傾向がつかめれば今回のような母子の検索方法の参考になると思います。

■考えられる問題
事実に基づく分析を進めれば、何が要因だったのか、社会として何が問題なのかに迫れると思います。
私としては、「ごめん」と子供に謝っているメモから、母としてのやさしさを感じますし、都会の中で住むことのリスクを訴えている事件のように感じます。

考えさせられます。