【設立5周年の振り返りと決意】

ある日の夜。
今日も活動が終わり、子どもたちを自宅まで送迎している車中で、ある子がニコニコしながら話しかけてきました。

「どんだけシーパオ好きか言うたろか? フフフ、明日の朝の10時まで居れるで♪」

あれ?学校は?という返しは野暮なもの。
CPAO大好き!と、小さい手を必死に広げて話してくれるこの表現。
持ってる言葉や動きで、精一杯表現してくれる、こんな子どもたちのちからが楽しくて仕方ありません。

でもこういう時に、大人である自分の貧しさを実感します。

子どもたちに、生きてる楽しさをこれだけおもいっきり伝え切れてるだろうか?

当たり前のことですが、子どもたち以上に多くの時間を過ごしてきて、経験も選択肢もあるはずの大人の自分。
物にも、出会いにも、そこそこ満たされてきたはずと思っていた感性の上をひょいひょい飛び越えていく子どもたち。

子どもたちに何かしてあげたい、なんておこがましく、逆に豊かさを子どもたちから受け取って活動ができています。

5年前の5月24日。
ニュースに流れた悲惨な事件をきっかけに私たちは活動を始めました。
そこから出会った子どもたちには、そんな豊かな発想を社会や世間の都合で決められた枠に収めてしまうことなく、自由に、そのままを活かしていける生き方を試してみたいと活動を続け、5年が経ちました。

「大人のことなんて信じない」
出会った頃はそう言い切っていたある子と、3年以上の月日をかけて過ごしてくると、そこには家族とはまた違った、近い親戚?、近所のおじさんおばさん?、いとこ?とでもいうような不思議な関係が生まれてきました。
できることは少ないけど、ただひたすらに全力で向き合ってきました。
今でもその子を取り巻く環境は相変わらずしんどい状況が続いていますが、つい最近、
「まあ、CPAOの大人は他よりマシやな」
と、照れ隠し半分、つぶやいたその言葉が、なんとも私たちの身の丈にあった表現で胸に響きました。

思えば、自分にできることはなんだろう?と、足元を掘り始めたのがCPAOの活動のスタートでした。そこからせっせと掘り続けてきて、できることはやってみる、それを続け、今の活動があります。
気付けば、ひとつひとつはしょぼくとも、これだけのことを一緒にやってこれたんだな、という自信にもつながりました。

それもみんな子どもたちのおかげ。
そんなたくましい子どもたちに案内されて、ますます掘ることが楽しみになっていくのを感じています。

この5周年を機に、新たに「Diggin’ CPAO」というプロジェクトを立ち上げました。
~dig & dig with fun!~とサブテーマを設け、それぞれの生きる術を掘っていこうというプロジェクト。

5年という中では環境や年齢によって関わり方が変わってきている子どもたちもいますが、もう一度、ひとりひとりの顔を思い浮かべながら、まだできることはないか?と模索してみたい。
「何がやりたい?」
「よし、それやろう!」
と言える環境を作っていきたい。

「他よりマシやな」と言える未来があるならば、やってみる価値はあるはず。
そんなワクワクする取り組み。詳しくはまたこれからお知らせしていきますね。

「子どもには自分で育つちからがある」と、私たちは信じ、子どもが育つ環境を大人や社会はどう整えることができるか?と取り組んでいます。
でも出会ったお母さんは、よく「親だからちゃんと育てないといけないんです」と言われます。
それって、どれだけのプレッシャーを周りの大人や社会から感じられているのでしょう。
「大丈夫ですよ、みんなで一緒にやりましょうよ」と話すと、初めはたいていの方がキョトンとされるのですが、次第に、それを試行錯誤しながら進んでいるのがCPAOなんだと伝わっていくのを感じます。

まだまだ答えなどありません。
でもこの活動ができているのは、この子どもたちはもちろん、私たちを信じて一緒に育ててみようとしてくださる親御さん、一緒になって体を動かしてくださるボランティアの方々、その活動を見守ってくださるみなさまのご支援ご協力で成り立っています。
そんなお気持ちに支えられ活動ができることを日々実感し、感謝に尽きません。

私たちも活動を始めた初動の思いを忘れず、この先も全力で取り組んで参ります。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

CPAO 事務局長 兼松徹