「子どもの貧困」ときいて、どんなイメージが浮かびますか?
日本からは遠く離れた国々で、
十分な栄養や医療、教育の受けれない子ども達を想像する人は少なくないと思います。
人間として最低限保証されるべき生活ができていない状態を絶対的貧困と呼びます。
現在、世界人口の約半分の人は絶対的貧困に該当されると考えられています。
かわって、日本など先進国と呼ばれる国々で起こる貧困を相対的貧困と呼びます。
国民全体所得の平均値に比べ、その人の所得が少ない場合は相対的貧困に陥っていると考えられます。
日本で起こりうる貧困の状態は、物質的・金銭的な欠如だけが問題ではなく、
・お金がないために人とつながりをもてない
・働くことや文化活動に参加できない
・人間としての可能性を奪われる
・子どもを安心して育てられない
などいくつもの困難を抱えている場合が多くあります。
特に、子どもの時期の貧困経験は、その後の成長に負の影響を及ぼすことが多く、
ひいては社会にとっても障害となる重大な問題です。
日本の子どもの6人に1人が貧困状態
現在、日本の子ども(17歳以下の子ども)の貧困率は16.3%(2012年)に達し、
1986年の調査開始以来、最も高くなっています。
貧困率とは、家庭の所得がその国の標準的所得の半分以下になる世帯の割合を指します。
ユニセフ(国連児童基金)の報告でも、日本は先進35カ国中9番目に高い水準です。
これらのデータは、日本の子どもの6人に1人が貧困状態にあることを示しています。
1980年代にはすでに10人に1人の子どもが貧困の状態にありました。
しかし、バブル経済の中で国として対策が講じられることはなく、
「子どもの貧困」問題は放置され続けて来たのです。
教育費の公的支出は先進国最低水準
そんな中、日本における教育費の公的支出は多くの先進国の中でも“最低水準”にあります。
特に就学前(幼稚園、保育園)、高等(大学、専門学校)教育の支出が少なくなっています。
就学前教育については97.2%もの児童が受けており、OECD加盟国中7番目に高い水準です。
(2010年4歳児データ)
しかし、これだけ多くの子ども達が必要とする就学前教育に対する国からの支出は低く、
その費用の内かなりの割合を家計が負担することとなっています。
また、高等教育では家庭からの支出が約65.6%を占め、OECD平均の2倍以上となっています。
2000年のデータと比較しても、家庭での教育への支出は増加傾向にあります。
母子家庭などひとり親世帯の貧困
子どもを持つ家庭の中でも、母子家庭などのひとり親世帯では教育費の支出が大きな負担となります。
シングルマザーの81%が働いているにも関わらず、
母子世帯の平均年収は約200万円、54.6%は貧困の状態にあると言われています。
国際的にみても、日本は働く女性の賃金水準が低く、子どもをもつ母親が働くことの障害が大きいことや、離婚後の子どもに対する父親の養育費の支払い不履行が非常に多いことも原因と考えられます。
2000年代に入って母子世帯の所得は年々減少し、ひとり親世帯の貧困化はどんどん進んでいます。